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高知家庭裁判所 昭和53年(少)1711号 決定

少年 K・N子(昭三四・八・二二生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

本件非行事実

司法警察員作成の昭和五三年一二月二三日付少年事件送致書および同月二七日付追送致書中の各犯罪事実欄に記載のとおりであるからこれを引用する。

罰条

覚せい剤譲り受けの各所為につき覚せい剤取締法四一条の二第一項二号、一七条三項覚せい剤使用の各所為につき同法四一条の二第一項三号、一九条

情状及び措置

調査審判の結果、少年には資質及び環境の両面に亘り、種々問題のあることが判明した。その主要な点は家庭裁判所調査官の(昭和五四年一月一二日付)調査票中意見欄に摘記してあるとおりである。

よつて少年には在宅保護による更生が全然期待できないので中等少年院に送致してその更生をはかることとし主文のとおり決定する。

なお収容期間の点につき、上記調査票中にもあるとおり、少年は本件非行事実以外にも相当回数覚せい剤の使用等を反覆していることが認められるほか、年長の女性と同性愛の関係にあり、また売春の経験も有するなど短期間の処遇ではその十分な更生を計ることが困難ではないかと思わしめる諸事実があるため、短期処遇の勧告はできないが、他面(一)本少年はこれまで処分歴を全然有しない少年であること(二)非行化の主たる原因は異母姉等を通じた不良文化との接触や適切な指導助言者の不在にあるもので、少年の資質自体に根深い問題性があるとは解せられないこと(三)その他この種事犯につき成人に対して行なわれている量刑の実情等もあわせ考えると、本少年の収容期間があまり長期にわたることは望ましくなく、比較的短期間(六ヶ月ないし一〇ヶ月程度)の矯正教育の後社会内処遇に移行することが望ましいと思料する。

適条

少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条。

(裁判官 西村則夫)

昭和五三年(少)第一七一一・一七二四号覚せい剤取締法違反保護事件

処遇勧告書

少年K・N子決定少年院種別中等少年院

昭和三四年八月二二日生決定年月日昭和五四年一月二〇日

勧告事項 本少年はこれまで処分歴の全然無い少年であること、非行化の主たる原因が環境や交友関係からの影響によるもので資質自体に根深い問題性があるとは解せられないこと。その他この種事犯につき成人に対して行なわれている量刑の実情等もあわせ考えると、比較的短期間(六~一〇ヶ月程度)の矯正教育の後、社会内処遇に移行することが望ましいと思料する。

昭和五四年一月二〇日

高知家庭裁判所

裁判官 西村則夫

〔参考〕少年調査票〈省略〉

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